2011/03/21

ただちに

 「直ちに影響のある数値ではございません。」
の「直ちに」というと直ちにでない場合はどうなの?ということで、福島第一原発に関する自己の疑問を整理してみた。

 モニタリングポストで測定している値:
 〇〇nGy/h → 1時間当たり〇〇ナノグレイ

 放送でよく言っている等価線量「シーベルト(Sv)」とは:
人体への影響を考慮した線量で、グレイからの換算値は通常時0.8倍、緊急時は1.0として計算。
(詳細な評価では被曝部位によっても異なるが。)

 われわれが通常受けている環境放射線は、太陽などからの宇宙線や土壌・地殻由来の自然放射線からだいたい20~70nGy/h(地域によっては100とか)なので緊急時の1.0を当てはめると20~70nSv/h(=0.02~0.07μSv/h)となります。

 放送で流れてくる単位はマイクロシーベルト(μSv/h)なので通常時の1000倍の桁であらわされていますが、一部の地域を除いて多くても一桁です。仮に通常値を50nSv/h(=0.05μSv/h)とし、放送で出てくる1~10μSv/hが何倍くらいになるかというと20倍~50倍ということになります。(算数)
(この数字を見ると不安を感じられる方もおられると思いますがあくまで自己の疑問の整理です。)

 年間許容量との関係
 一般人の年間許容量は1mSv(=1000μSv)となっています。(医療と通常の生活から受ける量は除きます。また、環境中の放射線などとして2.4mSv/年を受けてます。)
 一方、放送で読み上げられている単位はμSv/hで1時間あたりの量になりますので、
 24h×365日=8760倍した値が年間の被曝量になります。(実際に線量が一定ということは考えられませんので非常に乱暴な計算です。)
 0.12μSv/hの状態にさらされ続けると1mSv/年になってしまいます。
 この手の作業をする人は50mSv/年、緊急時で100mSv(福島はそれでは対応できずに250mSvに上げられました。都合に合わせて安全基準が変えられていいの?)
(この数字を見るとやはり不安を感じられる方もおられると思いますがあくまで自己の疑問の整理です。)

 降下物との関係
 放射性物質(=放射能)が気体であって風の流れに乗ってとっとと行ってしまうと放射線の値は急激に下がりますが、ヨウ素は気化(昇華)しやすい固体なので、降下してきます。(特に雨天時)
 すると地表面に堆積してそこで放射線を放つことになります。
 降下物の主体がヨウ素であれば「半減期」は8日(131I)くらいなので、一月ほどで10分の1以下になってしまいます。これだと年間換算8760倍する必要なし。一方、主体がセシウム(137Cs)やストロンチウム(90Sr)だと半減期は約30年です。
 直接原子炉の影響を受けるごく近いエリアは別として、50km-100km離れた地点のモニタリングの数値が上がったままあまり変動していない場所は、こういう半減期の長い物質の降下物があったと「推定」されます。しかし、どんな核種が検出されているのかあまり言っていません。これでは出来る防御が出来ません。食品分析については言っているようですが。
(こんな書き方をするとやはり不安を感じられる方もおられると思いますがあくまで自己の疑問の整理です。)


 CTやレントゲンなどの医療被曝との比較の問題点
 解説者の方が「CTで受ける被曝の10000分の1」とか言っていますが、仮に1万分の1としても年間に換算するために8760をかけると近い値になりますので、安全であるという説明にこの手法を用いることは「まやかし」「疑似科学」といわれても仕方ありません。
 そもそも、CTやレントゲンによる医療被曝というのは、多くの場合局所的であり、管理下での被爆です。そして、病気の早期発見や損傷部位の特定など、治療上の優位性が被爆によるリスクを上回るからこそ医療上の被爆が認められているのです。
(こんな書き方をするともっと不安を感じられる方もおられると思いますがあくまで自己の疑問の整理です。)

 結局、安全性を説明するためには人のデータ(或いはそれに相当するもの)を示すしかない。年間被曝線量、累積被曝線量、短時間の被曝からの回復などの関係をちゃんと説明していない。どうせ一般人にはわからないからテキトーにお茶を濁しておけということですか?結論は同じだとしても論理的解説を望みます。本質的な説明をしないから不安が増長されるのです。

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